自動車排ガス中に含まれる粒子状物質(PM: Particulate Matter)は、人体に対する健康影響が懸念され、排気エミッションガス成分であるHC、 CO, NOxと同様、規制の対象となっています。特に近年では、ウルトラファインPM(0.1μm 以下)による健康影響が懸念され、各国において規制の強化が実施されたことにより、自動車から排出されるPM 濃度(汚染度)や総排出質量粒子が劇的に減少し、従来のフィルタ法による測定ではその適応限界となることが予想されます。そのため、現在PM 測定法に関して従来から行われている質量基準(フィルタ法)の測定方法に加え、排ガス中のPM 総粒子個数濃度を測定する方法を併用することが欧州を中心に検討され、現状ではEuro5b において2011 年9 月から粒子の個数濃度規制を開始することが計画されています。これに伴い、排ガス中のPM の粒子個数濃度、いわゆるPN を測定する装置が必要になってきました。このPN を測定する装置は、欧州のPMP(Particle measurement program)により、いくつかの規定が定められており、それに従ったものがPMP 対応排ガス粒子数計測装置となっています。
PMS-M2 カタログ | PDF(211.3 KB) |
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PMS-T2 カタログ | PDF(225.5 KB) |
製品情報
特長
- 欧州が規定するEuro 5b/6に準拠
- 流量の高精度管理
- 高性能希釈器(100, 200, 500, 1000倍)
- PCを用いたユーザーインターフェースによる快適な操作と豊富な情報
1) 直感操作を意図した画面構成
2) PCを占有することなく、データ処理等の並列業務が可能
3) 温度、圧力、流量等をフルモニタし保存
4) データ選択が自由なグラフ作成機能
5) アラームの収録機能
6) 外部信号に連動可能なデータ収録
簡単操作モード画面
フルモード画面
- 日常的な点検機能を装備
1) VPR残留粒子確認 :試験毎
2) ETの温度確認 :試験毎
3) 第一希釈器の温度確認 :試験毎
4) CPC(PN)の動作確認 :毎日
5) CPCの流量確認 :月一回
- 優れたメンテナンス性
1) メンテナンス部品を背面に集約し、背面パネルの全面開口構造
2) ラインフィルタの交換作業が容易
仕様
オプションモデル
ダイリューショントンネルやテールパイプアウトのダイレクトサンプルに対応したオプションモデル(PMS-T2)を用意しています。
- 希釈器付き加熱サンプルライン
- トンネルサンプル用サンプル装置
- 粗大粒子を除去するサイクロン
- ダイレクトエキゾーストサンプル対応部品
キャリブレーション
- CPCの校正
エアロゾルエレクトロメータとの比較校正、またはエアロゾルエレクトロメータで校正されたCPCとの比較校正を行う必要があります。 - 検出効率
23nm(±1nm)粒子で50%±12%
41nm(±1nm)粒子で90%以上
校正周期は原則1年毎とします。 - キャリブレーション周期
1) CPCの校正
直線性:1年毎
検出効率:1年毎
2) VPRの校正
固体粒子の減少係数:1年月毎
揮発性粒子の除去効率:1年月毎
3) 粒子測定システムの点検項目
VPR内の残留粒子:1試験毎
CPCの動作:毎日
CPCのサンプル流量:1ヶ月毎
ETの温度指示差:1試験毎
第1希釈器の温度指示差:1試験毎
欧州PN規制
欧州諸国連合で2011年9月からEuro 5bに移行する排ガス規制には、ディーゼルエンジンを有する指定車両区分に対するマスPMの規制強化(5.0 mg/km→4.5 mg/km)に加え、新たな粒子数規制(6×1011個/km)が追加されることになっています。
また2014年から次のステップとなるEuro 6の移行期には、ディーゼルエンジンに加え火花点火型ガソリン直噴エンジンにも粒子数規制(6×1011個/km)が適応される予定となっています。
このEuro 6の移行期にはNOxマス、およびTHC+NOxマスも同時に規制強化の対象になることが提案されています(車両の区分により規制値はやや異なります)。
アプリケーション
- 対欧輸出車排出PM粒子数の認証試験
- DPFの性能テスト
- GDIエンジンの研究開発
関連製品
PMS-T2、DMA、粒子発生器、SMAC、ディフュージョンドライヤ、ファラデーカップ電流計、高圧電源
FAQ
・PMS-M2でテールパイプアウトのサンプリングができますか?
CVSトンネルからのサンプリングのみを対象としているため不可能です。
そのような場合にはPMS-T2をご検討下さい。
・特別な付帯工事を必要としますか?
大規模な工事は必要ありません。必要な電源容量と0.3MPaのエアー、および捨てガス用ダクト等の設置が必要です。
計測原理
本装置は、粒子数濃度をカウントする粒子数カウンタ(PNC)、および揮発性の粒子を除去する揮発性粒子除去器(VPR)から校正されています。VPR は、PNC が測定できる濃度範囲(上限約104cm3)まで粒子個数濃度を希釈する希釈機構とともに、状況により粒子サイズや粒子数が大きく変化する揮発性成分粒子を取り除く揮発性粒子の除去器を持ち併せています。CVSトンネルから採取された粒子は、VPR で前処理された後、PNC による粒子数のカウントが行われます。VPR は二つの希釈部と一つの加熱部からなり、一段目の希釈部で10 倍以上の希釈を行った後、高温で加熱することにより揮発性粒子を蒸発させ、さらに10 倍以上の希釈を速やかに行う二段目の希釈により揮発性粒子の再凝縮を防いでいます。