層流形流量計は差圧と体積流量がリニアな特性を持つ流量計で、定格流量における差圧も極めて低いため被測定物の特性に大きな影響を与えることはありません。
またリニア特性の故、脈動流に対してオリフィスや丸形ノズルのような差圧特性に特有の平方根誤差を生ずることはありません。
層流形空気流量計総合カタログ | PDF(3.6 MB) |
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製品情報
製品紹介ビデオ
https://youtu.be/V2g_Pl7u-_Y
ラインナップ
層流形空気流量計LFEシリーズ
Bシリーズ10~500L/sまで、全11モデル |
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LMシリーズ27~1,000L/min.まで全9モデル |
流量演算器LFC-300
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サージチューブST-300
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オプション
フィルタ・ダクト付 |
上下ダクト付フレキシブルダクト付 |
特長
圧力損失が低く、測定精度が高い
- 定格流量時の圧力損失は約0.8kPa(800mm 水柱)
- 定格流量レンジ内で測定精度±1%FS
- 定格流量の150%でも±1.5%FS
優れた応答性
高応答の圧力変換器を使い、差圧取出し用の圧力導管内 で気柱振動が起きないように注意すると、脈動周波数150Hzにおける振幅比で約95%の応答性を引き出すことができます。
脈動流でも正確な流量計測ができる
流量差圧特性が直線であるため、差圧の平均値は平均流量に対応することになります。 オリフィスやノズルのような絞り型の流量計は、差圧の平方根が流量と比例するため、以下の図に示すような「自乗平均誤差」を生ずることになります。
層流形流量計脈動差圧の平均=流量の平均 |
オリフィスやノズル等の絞り型流量計脈動差圧の平均≠流量の平均(自乗平均誤差) |
アプリケーション
エンジンの吸入空気流量測定に最適
- 脈動流による誤差が少ない。
- 低回転領域や気筒数が少ない場合を除き、サージタンクが不要で走行中でも測定できます。
- 圧力損失が低く、エンジン本来の性能に影響しません。
- 測定レンジが広く、エンジンの運転条件をカバーできます。
サージチューブの併用で脈動圧下の流量計測精度を確保
パンチメタル容器の中に収納された耐熱性のゴムチューブ(内容積が約3L)が、圧力に応じた容積変化をします。出入り口に脈動減衰効果が生じ、特に下流側での脈動が減衰します。
気体の搬送機器やデバイス等の高精度流量計測
気体の搬送機器等、ダイナミックレンジの広い流量特性を高精度に計測するには、図のように複数の層流形流量計と流路の切換え機構、および流量演算器の併用をお奨めします。
4台のラミナ係数を流量演算器に登録できるため、適切なレンジで流量計測を行うことができます。
その他のアプリケーション
- 様々な流量計の校正用ツールとして
- エンジンに関連したデバイス部品の流量特性評価と開発
- ブロワ、コンプレッサ等の吸引(吐出)流量測定
性能仕様
定格流量 | 型番表示方法の表参照 |
圧力損失 | 約0.8kPa(定格流量) |
流量に対する差圧の直線性 | 定格流量内で±1%FS以内、定格流量の150%で±1.5%FS以内 |
ラミナ係数の精度 | ±1%FS以内 |
許容ライン圧力 | 30kPa以下 |
応答性 | 約150Hz(特長のグラフ参照) |
温度範囲 | 5~50℃(結露しないこと) |
※ 体積流量の計測には別途、差圧計・温度計が必要となります。
質量流量の計測には別途、差圧計・温度計・絶対圧計が必要となります。
差圧計・温度計・絶対圧計が内蔵された流量演算器LFC-300のご使用を推奨します。
型番表示方法
型番選定例
LFE-100B-FD Model:Bシリーズ、定格流量:100L/sec、オプション:入口側フィルタと下流側テーパダクト付き
外観図と寸法
CCM, LMSシリーズ 流量計単体
※ 差圧の取出しポート径は全モデル共通
LMシリーズ 流量計単体
Bシリーズ 流量計単体
※ CCM, LMS, LM, Bシリーズのダクト類、フィルタ+下流側ダクト付き、上下流ダクト付き、およびフレキシブルダクト関係の詳細寸法や重量等については、関連資料のpdfカタログをダウンロードしてご参照ください。
サージチューブ ST-300
接続用の適合フレキシブルダクトと カフス、およびワイヤーバンドは 呼び径65となります。
FAQ
取扱説明書にしたがって流量計算しましたが、この流量値はどの個所の値ですか?
Qreal(実流量)を求めたのであれば、これは操業状態での流量計入口温度、入口圧における流量計入口での体積流量です。またQnormalを求めたのであれば、流量計入口の体積流量を20℃、101.3kPaに換算した体積流量となります。
測定対象物と層流形空気流量計を配管で接続した時、測定対象物のQnormal=流量計のQnormalとなりますが、測定対象物のQreal≠流量計のQreal となる場合があります。これは配管の圧力損失、温度の違いによるものです。
温度、入口圧は何処で測るのが適正ですか?
温度の測定は流量計の入口付近で行います。温度計は応答性の早いものを選定して下さい。入口圧は流量計差圧取出口の上流側を分岐して測定します。
流量計の下限、上限は何処ですか?
精度0.1%クラスの差圧計を使用する場合の測定下限はFSの1/15、精度1%クラスの差圧計を使用する場合の下限はFSの1/10を推奨しています。
また測定できる上限流量はFSの1.5倍となります。
オーバーホールを行う適正時期は?
通常1年を推奨しています。
計測原理
計測原理
管路内の流れが層流のとき、流体の粘性によって管路の前後に発生する差圧は体積流量に比例します。これはハーゲン・ポアズイユ(Hagen-Poiseulle)の法則と呼ばれます。LFEの層流素子は、写真に示す台形断面の毛細管を束ねた構造となっており、流体はこれらの毛細管の中を層流として流れます。
体積流量:Q ∝ K × Px
流量計入口の空気温度(t)における体積流量Qtは、 次の式で表すことができます。
Qt = K20 × (μ20/μt)×Px
ここで、
K20:標準空気(気圧101.3kPa、相対湿度65%)における流量係数(ラミナ係数)
μ20:20℃にける空気の粘性係数
μt:温度 t℃における空気の粘性係数
Px:ラミナ差圧
空気の粘性係数は温度の関数であるため、空気温度の計測が必要となります。
また、上記の体積流量 Qtから、標準換算した体積流量質量流量を求める場合には、流量計入口の絶対圧を計測することも必要となります。
校正
トレーサビリティ
トレーサビリティとは一般に、計測器が校正の連鎖により 国家標準に辿り着けることが確かめられていることを示し、計測結果における比較の連鎖を保証するものです。
当社の校正作業に使用する機器類は、以下のトレーサブル機器のいずれかを使用します。
- 「ISO/IEC 17025認定校正事業者が発行する認定シンボル付校正証明書」を有する機器:国際トレーサブル機器
- 「校正機関独自の技術基準による校正証明書」を有する機器:一般トレーサブル機器
校正方法
流量校正は、同一モデルの基準層流形流量計(LFE-std)と校正対象の流量計(LFE-X)を直列に接続し、大気から清浄空気を流す比較法で行われます。
基準流量計の差圧Pstdから算出した流量Qと、校正対象となる流量計の差圧Pxの関係をプロットし、最小自乗近似を用いてラミナ係数K20を決定します。この係数K20を用いると、差圧と流量の関係は定格流量内で定格流量の±1%FS以内の直線性を有します。
また、各測定点におけるK20と差圧Pxの関係をプロットし、K20を差圧の関数としてA、B係数を決定します。この係数は層流素子の開口端の影響を補正するもので、より高度な流量計測に適しています。
流量計に添付される試験成績書には、ラミナ係数K20とA、B係数が記されています。K20を用いれば簡便に流量を求められます。
またA、B係数から算出したK20を用いれば、より高精度に流量を求めることができます。